0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「祟りね。ただの交通事故なのにね。ところでさ……」
そこでその話題は終わり、30分ほど話し込んで伴美とわかれたのだった。
いま思いかえしてみるとあのときの伴美はヘンだった。そう思うのは今さらの後付けか。
実は羽矢名君の妹が加原君とつき合っていて交通事故で羽矢名君が死んで羽矢名一家は引っ越し、なし崩し的に二人はわかれた。伴美の願いは叶ったのだ。しかし羽矢名が死んだあと伴美と加原くんは付き合っていない。
なぜならわたしと付き合ったから。そう、わたしは加原くんの彼女なのだ。あのときからずっと。
つき合えなかった彼女は、今、こうしてわたしの胸をナイフで抉りながら叫んでいる。
「お前が、死ねばっ、加原くんっはっ、わたしに振り向くっ」
ナイフを突き刺す伴美の頭には髪は無かった。
彼女は願ったのだろう。『かみきり様』に。そしてその願いは叶うだろう。
だってわたしもそうしたから。
最初のコメントを投稿しよう!