助けて、妹

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『…ほら、擦らない。こっち向いて』 顎を掴まれ、強引に上を向かされれば…視界に入ったのは、眉を潜めた有阿の姿。肩に掛かったタオルを取り、再び俺の涙を優しく拭ってくれた。 『ご、ごめんね有阿…』 『…別に』 カーテンを開け、もう雨は止み暗くなった空。 星が…好きな有阿。 『…今、沢山泣いたら良い。思い出す度に泣く兄ちゃんを見るくらいなら、今日…一度に泣かれた方がマシ。 まぁ…今どんなに泣こうと、兄ちゃんのことだからまた泣いちゃうんだろうけど』 タオルが足りなくなりそうだね。 そう言って振り向いた有阿は、悪戯っ子のように笑っていた。後ろにある夜空と有阿は、何とも絵になっていて…どこか幻想的。 気付けば、俺の涙はいつの間にか止まっていた。 『さて、どうせ何も食べてないんだよね。ご飯にしようか』 手を取られ、有阿に引っ張られながら歩いた。 妹の背中が…とても とても力強いものに見えた俺は、その日初めて 笑った。 .
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