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『したいです!貴方と…』
辿々しいかと思いきや、急にはっきり大きな声で話されるとびっくりするな…
それで、主語がなくて後半小さな声でそんな事言われると、この会話が聞こえた周りの人からは……って、考えすぎか…
「あ、うん。契約ね。」
『こんな私でもいいですか?』
帰れなんて言えないし…
「そんなこと言って、したいんでしょ?」
『えっ、と…意地悪です…』
見た目も表情もあったもんじゃない。けど、声色は分かる。
なんだこの可愛い生き物は。
これで、ある程度自由に姿を変えられるっていうんだぞ?
「意地悪って言うけど、本音は…?」
『したい…です。…』
「うん、何を?誰と?何処で?どんな風に?」
『…契約を、名前は存じませんが貴方と、今この場で、貴方の魔力値30と引き換えに。です。』
僕と今からする契約は僕の魔力値30と〝引き換え〟に成立?
簡単だ。
「その~ 魔力はどうやって渡せばいいの?」
『はい、左手の傷はまだ塞がってないです?』
「傷?血を使うの?」
『いえ、その傷を私に下さい。
右手を出しますから。その際に魔力を頂きます。』
傷を下さい?何を言ってるんだ?
ともかくだ、よく分からないし命に関わることとかではなさそうだから、ここはこいつに任せて手取り足取り…
「どう?こう?こんな?」
僕の左手を取り指を絡めて繋いで、こいつは何やら小さく呟いた。
『…と…の………くぉ……ミス』
取り返しがつかない気がしてきた…きっともう遅いんだろな…
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