1.ボールと窓ガラス

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「うりゃっ!」  続けて思い切り投げる。誰もいないグラウンドに向かって。  肩の強さを確かめたかった訳ではない。単なるヤケクソ。飛んでいった塊は地面に落下してその姿を消してしまった。 「お?」  次に投げる為の石を探す。その途中でもっとピッタリな物を発見した。 「落とし物かな」  手を伸ばして回収する。軟球と思われるボールを。  このグラウンドには野球用のベースも設置されており、たまに野球の試合が開催されていた。学生同士だったり草野球だったり幅広い年齢の対決が。恐らくその時に使われた物が置き去りになってしまったのだろう。幸運な拾い物だった。 「へへへ、ラッキー」  良い道具を見つける。暇潰しには最適のオモチャを。  砂利が付着していたので指で払って除去。綺麗にした後は頭上に投げて1人キャッチボールを始めた。 「……懐かしいなぁ」  父親と投げ合っていた頃の記憶を思い出す。子供の頃だからこそ作れた家族との思い出を。
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