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「うりゃっ!」
続けて思い切り投げる。誰もいないグラウンドに向かって。
肩の強さを確かめたかった訳ではない。単なるヤケクソ。飛んでいった塊は地面に落下してその姿を消してしまった。
「お?」
次に投げる為の石を探す。その途中でもっとピッタリな物を発見した。
「落とし物かな」
手を伸ばして回収する。軟球と思われるボールを。
このグラウンドには野球用のベースも設置されており、たまに野球の試合が開催されていた。学生同士だったり草野球だったり幅広い年齢の対決が。恐らくその時に使われた物が置き去りになってしまったのだろう。幸運な拾い物だった。
「へへへ、ラッキー」
良い道具を見つける。暇潰しには最適のオモチャを。
砂利が付着していたので指で払って除去。綺麗にした後は頭上に投げて1人キャッチボールを始めた。
「……懐かしいなぁ」
父親と投げ合っていた頃の記憶を思い出す。子供の頃だからこそ作れた家族との思い出を。
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