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ガラッと目の前のドアが開いた。
「どおぞ。これからはレディの部屋を開ける時はノックを忘れずね!」
真っ赤な顔してツンと言う真城さん……
赤いTシャツを着ていた。
「は、はい……気をつけます……」
僕は病室に足を踏み入れる。
まだ心臓はドクンドクンと強い脈をうっていた。
「あ……着替え……昨日真城さんのご両親が持ってきたんだね…ハハハ…」
なぜか笑ってみる……笑うところじゃないのに……
「ううん……お兄ちゃんが……両親は海外に行ってるから来れないんだ……」
「え……」
ギクッと胸が鳴る……
昨日はそんな話してなかった……
まさかもう記憶が戻ったのか……と……
「記憶……戻った…の?」
まずい……
これから僕は君の彼氏じゃない…て、話すつもりだったのに、もう記憶が戻ったなら、昨日の僕の嘘は弁解できず、僕はただの嘘つきくそ野郎となってしまう……
ベッドに座る真城さんを見る……
「うん……少しずつね」
「少し…ずつ?」
「完全じゃないんだ……君とのことがどうしても思い出せないんだ……」
シュン……と下を向いて膝を抱える……
なぜだろう……真城さんの寂しそうな顔を見ると胸がキュンとする……
「あ、それはね……」
僕は君の彼氏じゃないからだよ……
と言おうとして……
「ね!」
ガバッと真城さんが顔をあげて僕を見た。
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