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操の横顔を見ると、口唇を噛み締めていた。
その力の入り具合で、彼女が気まぐれで俺にこんなことを言い出したわけではないことが判る。
でも、だからって俺にどうしろと?
抱けとでも?
俺のものにならない、こんな女を?
……1回や2回で済むわけないだろ。
ごめんだ、そんなの。
「こんなこと、木島にしか言えないんだけど……」
「おう」
平常心以外の選択肢がまったくなくて、友達のポジションから返事をしてやる。
「他に、思いつかなくて。あたし、買ったこと、あるの」
「うん?」
「その、男の人との……そういう時間……」
ガシャン
足元に、俺の水割りのグラスが落ちていた。
落ちたんじゃない。
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