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──なんで唯が、
夜としてはまだ浅いこの時間に、
男の腕にしがみついて
ラブホ街が立ち並ぶブロックの方に
歩いて行ったのか。
一目瞭然の、既成事実に等しいその光景を理解することを、俺の頭が凄まじく拒んでいた。
「Damn it……」
思わず、好きな映画の主人公の口癖が口をついて出ていた。
そうやって現実逃避をして茶化してしまわないと、立ってられなかった。
なんか、脳みそ揺れてる気がするし。
酒飲む前から酔ってたら、操に怒られる。
操のことを思い出して、妙な揺れが止まった。
そうだ、俺が本当に愛して愛してやまないのは操だ。唯じゃない。
どちらに転んでも最低なその事実を何度も頭の中で繰り返して、今の自分の状態について考えてみた。
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