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操を抱いたままの生々しい身体で戻った、マンションの部屋の前。
キッチンの窓から通路に光が漏れていて、思わず眉根を寄せた。
部屋に上がり込んだ犯人は判っている。他に考えられない。
この不愉快をどうしてやろう。
今日射つもんはもうさんざん射ってしまって、あと出せるものはもう純粋な怒りくらいしかないんだけど。
眉根を寄せたまま、ドアに手をかける。
手ごたえもなくカチャン……と開いた。やっぱりな。
玄関のたたきに、見慣れた淡いオレンジ色のパンプスが綺麗に揃えてある。唯のものだ。
──整理しようか。
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