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こんなふうに委縮してしまうくらいなら、なんでやった。
夕方前からの唯の不在着信は5件。
俺と話をしたかったのは判っている。
だったらなんで近くのカフェで時間潰さなかった。
そのあたりの態度いかんでは、昨夜のことを水に流しても構わなかったのに。
「なあ、俺、頼んだ?」
「ご、ごめんなさい……」
「……」
ハー……と大きな溜め息をついてやる。
唯の前で、俺はいつも滑稽なくらい優しくて明るい男をやっていた。
面倒なこととか湿っぽいこと、本当は好きじゃないから。
初めて寝たとき、腕の中で嬉しがって泣いてたのは可愛かったけど。
でも、そんなの誰でもそう思う。
俺じゃなかったとしても。
唯じゃなかったとしても。
「唯、昨夜どこにいた?」
「え」
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