寛容と冷たさはとてもよく似ている。

7/33
前へ
/33ページ
次へ
   ひどく投げやりになっている自分を感じて、薄い笑いが浮かんでくる。  自分の倫理観とか誠意とかってものが、よく判らなくなってきた。  これを言った瞬間自分にブーメランして帰ってくるのは判っている。  でも確認せざるを得ない。 「俺、股がけする女嫌い。帰ってくれる」  言った瞬間、サックリと自分の首まで切られた気分になる。  若いときは気付かなくて、よく無意識に人を傷付けたもんだ。  だからと言って、今は判って言ってるからマシだろ……なんて勝手なことも考えてない。  でも、それらをすべて考慮していたら、最後には貝になるしかなくなる。  ただの自分勝手でも、どうしても言わなければならないことはある。 「木島さん……こそ……」  震える唯の声で、もう泣き出していることが判る。 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加