第3話

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メインストリートにある街路樹はクリスマスツリーに変身し、電柱や看板もクリスマスカラーの電飾に彩られいつにも増して華やかになる。 しかも、毎年テーマみたいなものがあるらしく、その年によってイルミネーションが醸し出す雰囲気は異なっていたりする。 この繁華街のイルミネーションは地元の人達にはもちろん近隣の県でも有名で遠方からもわざわざ足を運ぶ人達がいる程だったりするらしい。 ……そう言えば昨年のクリスマスはあのゲームセンターの前で1人でイルミネーションを眺めてたっけ……。 寒さの所為で手足がかじかみ、感覚も無くなりながら ……なんでこんなに寒いのにわざわざ外に出るんだろう? イルミネーションが放つ光りに照らされて幸せそうな表情を浮かべる人達を眺めながら私は首を傾げていたっけ……。 それに比べて今年はこんなに暖かい部屋で、しかも1人じゃないし……。 「美桜?」 「え?」 「どうした?」 「なにが?」 「なんかニヤけてんぞ?」 「えっ!? 私、ニヤけてた?」 「あぁ」 「……ヤバッ!!」 私は急いで顔を両手で覆った。
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