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そして、最後は日本語。
俺の目を見て、あの人は話す。
と、いうことは日本人は俺だけか。
「君たちには、これから兵士になってもらう」
ちょっとばかり、俺の心は興奮した。
ミリタリーは好きだったし、戦うっていうのは男の子のロマンだ。
「そのために、君たちには様々な事を学んでもらう。容赦はしない。きっとこの中の何人かは死ぬ。もしかしたら全員死ぬかもしれない」
死ぬ。
イマイチ実感を持てなかった言葉・・・・・・人を殺すまでは。
倒れ、血を流し、寒くなり、動かなくなる。
それが、死ぬ。
「反論はさせん。君達は生まれ変わるのだ」
厳しい目つきで俺を見据える。
どうやら、俺の人生は少年兵で決まったらしい。
小一なりの頭でそんな事を考える。
「今から君達に名前を与える。新しい名前だ、今までの名前は捨てろ」
そして、それを外国語でもう何度か言う。
みんなが絶望に打ち砕かれる中、密かにワクワクしている自分がいる。
そのおかしさに気付くには、まだ幼すぎた。
「君は・・・・・・Hardy(ハーディ)だ」
1番最後に肩を叩かれ、そう告げられる。
意味は?そう聞こうとした時、女性は言った。
「導く者という意味だ」
ハーディ。
新しい名前。
今までの、日本人としての俺はそこで完璧に死んだのだ。
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