第一章

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それから俺たち子どもは船の中で揺らされたりトラックに載せられたり、着替えさせられたり。 逃げれば殺す、そう言われて逃げる奴なんていない。子ども達はみんな静かだった。 そうして着いた国はイラク。 まだイラク戦争どころか9.11が起こる前だからハンヴィーやエイブラムスがそこらを走ってはいない。 数時間、目隠しさせられトラックに載る。 その間、あの金髪の女の子が手を握ってくれていたのを覚えている。リア充みたいだけど、別にそうじゃない。 名前を教えあったりしただけだ。 トラックを降りると目隠しを外される。 そこで見た光景は・・・・・・なんてことない。 だだっ広いが質素な屋敷だ。 そこで、前に助けてくれた女性が俺たちを中へ導く。 するとターバンで顔を隠した大人達が丁寧に礼をして女の人を迎えた。 なんかのヒーローみたいだな、と思ったな、あの時は。 広い屋敷の中、彼女の後を着いて行くと、教室のような場所へと連れて来られた。 そして、知らない言葉で何かを伝達する。 英語、フランス語、よくわからない言語。どうやら子供達の国の言葉を使って女の人は何かをつたえているようだった。 そして、それを聞いた子供たちが青ざめていく。 隣にいた金髪の女の子・・・・・・エマも、急に震え出した。
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