第3話

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「いらっしゃいませ 桐谷さん以外みなさんお揃いですよ」 早っ!オフィスを出たのは私達が一番だったのに、無駄な化粧直しをしている間に抜かされた訳か 店の中には、待ちきれず……いや待つ気なんて全くない男ども4人が、もうすでにビールを飲み始めてる まだ、18時30分になってないのに… あれ?課長もまだってヒカルさん言ってなかった?それに女子も揃ってないのに… そんなにアルコールに飢えてたのか? その情熱を仕事に向ければいいのに…… 「あーみなさんズルいですよ~ ちょっとくらい待っててくれてもいいのに~」 真由ちゃんがそう言いながら同僚で私の2歳年上の綾瀬さんと松澤君の間に割り込んでドカッと座った 実は真由ちゃんはこの綾瀬さんの事が好きでジワジワとあの手この手で迫っているのだ。真由ちゃん本人は誰にもこの恋心は気づかれてないと思っているらしいが、実はデザイン課全員が知っている もうダダ漏れだから…… 当の綾瀬さんは真由ちゃんには全く興味がないらしく、周りから見ていてなんとも痛々しい感じになってしまってる 綾瀬さんも真由ちゃんの気持ちには気づいていて、それとなく突き放しているのだけど、何せ真由ちゃんがハッキリ告白しないので、綾瀬さんも告白されてないのに、付き合えないと本人に言うのも自意識過剰みたいで嫌だから、とりあえずへんな気を持たせないよう、あくまでも仕事の後輩として線引きして接してせっしている…とこの前二人で残業しているときに言っていた 真由ちゃん…… いい子なんだけどな…… 真由ちゃんが悲しい思いするのは嫌だな…… ちょっと切なくなって真由ちゃんを見ると………… 私のこの切ない思いは全く意味がなかったかのように、綾瀬さんの隣ですでに頼んだらしいビールをゴクゴクほぼ一気飲みに等しい勢いで豪快に飲んでた ねぇ真由ちゃん、恋してるのよね… いいのかそれで? 
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