第3話

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会議室へ入ると私達三人以外は全員揃っていた 「遅くなってすみません……」 ペコペコしながら自分の席に座る 私が座って一息ついた時、会議室のドアが開き、課長と主任が「遅くなりました」と言って入ってきた 私が最後にならないように配慮してくれたんだろうな 課長って本当に大人だ それに比べて主任はお子さまだよ 私より四つも年上なのに うちの兄といい、主任といい、この年の人は変わり者が多いのかな? 「ではみなさん揃ったようなのでこれより始めたいと思います」 司会進行を務める商品企画課の主任が段取り良く会議を進行していく 約一時間半かけて双方納得いく形で会議は終了 私ともう一人六歳年上の 華子さんが今回のデザイン担当者だ 華子さんのデザインはセンスがとってもよい 配色のバランスがずば抜けていて 毎度のことながら、さすがだな~という思いで一杯だ 私なんてまだまだ足元にも及ばない 華子さんは私のデザインはパターン化されてなく、その物だけの為を思って描かれたものという意識が見る側にもビシビシ伝わってくるからインパクトは抜群だよ!もっと自信を持って、といつも言ってくれるけど、まだまだ自信なんて持てない でもデザインを考えてる時間は大好きだ 夢中になっちゃうと寝食も忘れて気がついたら完徹している日も多々ある 佑を忘れる為にはとにかく仕事しよう 朝も昼も夜も平日も休日も、デザインに没頭しよう ここで腕をあげなきゃ、この先食いっぱぐれてしまう もう恋なんてしないんだから 仕事に生きて、つい先程人より20年短くなった寿命を悔いなく終えよう    
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