第3話

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カチン 電気ケトルのスイッチが上がり湯が沸いた事を知らせる あっ、コーヒー 私は棚から色違いのカップを出して 佑には砂糖なしミルク多め、私は砂糖多めミルクなしと当たり前のようにテキパキ作り湯を注ぐ 途端に辺りがコーヒーのいい香りに包まれる スプーンでかき混ぜ両手にカップを持ちリビングのテーブルの上に置く 「佑、コーヒー入ったよ」 そう声をかけると佑がゆっくり顔を上げる 眉間にシワを寄せ唇をギュッと結んだ表情は三年間つき合ってきたけど今まで一度も見たことのない佑の顔だ どうして佑がそんな顔するの? 泣きたいのは私なのに…… 「ありがとう これ飲んだら帰るよ…… 明日も仕事なのに遅くに悪かった」                               二人で何も喋らずコーヒーを飲む 佑がカップをテーブルに置き、ごちそうさまと言って立ち上がった 「…うん」    そう返事して私も立ち上がる
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