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玄関で靴を履く佑の背中をじっと見つめる
……まだ泣いちゃダメだ
靴を履いた佑が振り返り私を見る
そして
佑の手が私の頬に触れそうになった瞬間、反射的に私はその手を拒絶した
他の人に触れた手で私に触れないで
行き場をなくした佑の手は宙をさまよいガクっと落ちた
「蒼空…本当にもうダメなのか
今すぐじゃなくてもいい
蒼空の気持ちが落ち着くまでいつまででも待ってるから、もう一度話をさせて欲しい
女々しいと思われてもいい
俺は蒼空を失いたくないんだ
もう一度、もう一度だけ会って欲
しい
頼む……」
そう言って頭を下げる
「わかった
……連絡する」
私がそう言うと佑はハァ~っと息を吐き出し、少しだけほっとした表情で
「ありがとう
連絡待ってるから
いつでもいいから……朝早くても真夜中でも仕事中でも
蒼空がかけたいと思った時でいいから…
ずっと待ってるから…」
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