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寝返りをうって音のした方をみると
小汚いスーツの毛むくじゃらな男が調度スケッチブックを拾い上げているところだった。
「す、すみません!!」
日和はすぐさま立ち上がって頭を下げた。
だが男は何の返答もせず
日和のスケッチを黙って眺めている。
「あのー?どうかしました?」
男は黙ったまま顔だけを日和に向けると、ようやく口を開いた。
「君はこの花達をちゃんと見て描いたのか?」
唐突な質問だった。
「まぁ…見たと言えば見ましたけど。ちゃんとかは僕にもわかりません。」
日和のスケッチブックに描かれた花は、何か現実の花とは若干な違和感を感じた。
「ふむ…。君、学生?」
「いえ、そんなお金はないですよ。」
「どういうことかな?」
「あぁ…僕、自分の家もないんですよ。」
男はまた黙り込んでしまった。
続く
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