第2話

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 はてさて、どうしたものか。これでは僕の完璧な計画が台無しである。  僕はぽりぽりと鼻を掻いた。  完璧な計画とはつまり、小学校の高学年くらいに僕の天才振りを世に知らしめる計画だ。  IQ推定200以上。アインシュタインの相対性理論を理解し、フェルマーの最終定理を3日で解いた。僕は今の今までそれをひた隠しにし、普通の子供として時期を窺っていただけにすぎない。  まったく、困ったものである。高学年になるまで後4年かかるというのに、明後日には地球が崩壊するのだから。これほど迷惑な話はない。  ……え? なんで高学年かって? やれやれ、天才の考えとは、いつの世も理解されないものだ。  歴史上、天才と呼ばれている人間の幼少期は悲惨なものだった。皆一様に『脳みそが腐っている』と言われ続けた。十で神童、十五で才子、二十歳(はたち)過ぎれば只の人。というように、大人にとって天才とは自分を真似る存在である。そこから逸脱した子供が奇異に見られるのは当然のこと。馬鹿と天才は紙一重というのはそういうことだ。  そこを考慮して、言語能力や説得力がでてくる高学年が早すぎず遅すぎず、ベストなタイミングというものだ。理解していただけたかな?
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