第2話

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 昼休みに白鳥から呼ばれて、僕たちは校庭に出た。彼から呼び出されなければこちらから動いていただろう。丁度いい、手間が省けた。 「はなしってなあに?」 「演技は不要だよ、田中君。気付いていたよ。なにせ僕はキミと同じ種類の人間だからね」  白鳥はジャングルジムに手をかけて続けた。 「プロジェクト・トレミー。そして、プロジェクト・ノア。こう言えば理解できるだろう? 僕と同じ能力を持つキミならば」  僕は阿呆な笑顔を消して、白鳥を見た。 「その顔は、ビンゴだ。やはりキミもそうだったんだね。政府はあのラッキースターから地球を救うことを諦めた。だがそれは仕方のないことだ。政府は気付いていなかったからね。僕と田中君、キミという存在に」 「何が言いたい?」  僕は尋ねた。白鳥の意図はある程度想像できたが、それを白鳥の口から言わせる必要があった。 「手を組もう。僕一人では不可能だったが、キミの協力があれば地球を救えるはずだ」  同じ考えに行き着くとは。予想通り。いや、予想以上だ、白鳥。  僕は笑いを堪えるのに必死だった。しかし、これは打算的な笑いではない。単純な歓喜だ。  通常ならば、天才というのは常に孤独な存在。なぜならば天才の考えを理解できる人間がいないからだ。  それが理解できる人間がここにいる。なんと嬉しいことか。認めよう、白鳥。お前がこの天才に並ぶ天才だと。 「嬉しそうだね、田中君。僕もさ。まさか同じ能力を持つ人間がこんなに近くにいるなんて想像もしていなかったよ。……僕と同じ、超能力者が」  ……ん?
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