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空気の塊は、今にも襲いかかろうとしているモンスターに直撃し、消し去る。
「ボサッとしてるんじゃないアル!!やる気がないならさっさとエスケープするネ!!」
遠くからリーの怒鳴り声が聞こえる。そうか、俺はリーに助けられたのか。彼奴には、俺のことを気にする余裕すらあるんだ。
その余裕が羨ましいと思った。どうしたら、そんなにも強くなれるのだろう。ゲームを始めた時期はほぼ一緒な筈なのに。
やっぱり才能なのか?それだったら、ラルフやアリアが強いのだって頷ける。俺には才能が無いんだ。
そう思うと、こうして必死になっている自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。同時に、必死になるのが面倒なる。
とりあえず、面倒ながらもコイツらモンスターだけは倒そう。後で何かいちゃもんを付けられては面倒だ。
そして、このフロアを攻略できたらエスケープして彼奴等の前から姿を消そう。そうすれば、羨むことなんてなくなる。
俺は、ラルフの忠告を無視してスキルを使った。やっぱりこれを使えば楽だ。相手の動きが手に取るように分かる。
そして、無意識にモンスターを薙ぎ倒し気がつけば、モンスターは一匹たりとも居なくなっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ。やっと終わったか……」
「渚!!お前スキル使っただろ!!」
戦いが終わり、すぐにラルフはそう怒鳴りながら俺に近づいてくる。
「しょうがないだろ。そうでもしなかったら殺られていたんだ」
「それでも、お前なら俺等の誰かが助けに行くまで持ちこたえれただろ!!」
何故だろう。何だか、ラルフを見ていると苛々してくる。いや、ラルフだけじゃない。リーやアリアもそうだ。
「そんな面倒なことして何になるんだよ」
「面倒だと……」
しまった。遂苛々して本音を言ってしまった。だが、何故か口が止まらない。感情が抑えられない。
「そうだよ。俺はな、お前らみたいに才能のないんだよ!!そんな俺がな、お前らみたいな奴等と釣り合うために努力するのがもう面倒くさいんだよ!!」
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