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取り返しのつかないことをしてしまった。どの面を下げてラルフに会えばいいのだろう。
「はぁ、人間とはやはり愚かな生き物だね。見ていると吐き気がするよ」
落ち込んでいる俺を嘲笑うような発言が、背後から聞こえた。
振り向いてみると、そこには金髪の長髪を束ね、人を見下しているような目付きと黒い瞳、黒縁の眼鏡が似合う白衣を着た長身の若い男が立っていた。
「何か言った?変人ナルシストさん」
「おいおい、初対面の人を変人扱いとは失礼だろ。頭の悪い礼儀知らずの少年」
目の前の変人は、落ち着いた口調で淡々と人の勘に触る事を言い放つ。
「礼儀作法とか面倒なんだよ。それより、俺は今虫の居所が悪いんだ。あんまり下手な発言をするとキレるぞ?」
「それがどうした?別に君がキレたところで怖くも何ともない」
「一々ムカつく野郎だな。お前、友達とか出来ない奴だろ?」
「友達など必要ない。そんな哀れなモノを作り、時間を無駄にするなどこの世で最も愚かな行動だ」
どうやら、目の前の男は頭の中に虫が湧いてるようだ。とりあえず一発殴ってやらないと俺の気がすまない。
男に近づき、拳を振るうと男に当たる寸前に透明な壁のような物で阻まれてしまった。
「口で勝てないから暴力か?そんな考えをするからお前ら人間は愚かなんだよ」
「おいナルシスト。お前も人間だろうが」
すると、男は何を言ってるんだ?っといったような顔をする。
「お前はバカか?もし私が人間ならそんなこと言う筈ないだろ。頭に虫が湧いてるんじゃないか?」
「はっ?お前どう見ても人間だろ。遂に現実逃避か?」
男はため息を吐き、やれやれと言いたげに首を左右に振った。
「私は人間じゃない。まぁ、まだ公表はするつもりではないから名乗るのは止めておくよ」
どうやら本当に頭に虫が湧いてるようだ。早く精神科に行くことをお薦めしてあげよう。
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