灯火

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  「お兄さん、私たちと一緒に行こうよ。今いっぱい集まってるらしいから、凄いことになってるよ」 「俺はあと、半日の命のホタルだぞ。行くと言ったって何処にだよ」  ぼんやりしていたところに突如として現れ、俺のことをお兄さんと呼んでくる二人。俺、生まれたばかりなんだけどな、という言葉を飲み込む。先程から説明しているが、これだけ言っても無駄なのだ。そうとわかったら諦めるしかない。  仕方なく、華南に何処に行くのかを聞いてみる。すると、 「京都。でも集まってから何をするかはわかんない」  何をするのかわからないのに、俺を誘っているのかよ。それに、「いっぱい」いるんだから、誰か一人くらい話しているのを聞いてないのか。頭を抱えていたら、今度は八雲のほうが言う。 「お兄さんは、百鬼夜行って知ってる? 僕ら、それに参加しようと思っているんだ」 「それは妖怪の大行進だろう。何故参加したいんだ」  不思議そうに首を傾げたと思ったら、一拍置いて二人が口を揃えていう。 「「妖はみんな参加するって聞いたから」」  どうやら二人の頭についていた耳は装備していたものではないらしい。 「僕は、送り犬って妖なんだ。犬神と間違えられることあるけど、全然違うからね、お兄さん」 「私は、猫又。意味は異なるけど、化け猫みたいなものだよ、お兄さん」  聞けば、日本各地にいる仲間を京都に集めている、とのこと。人を食らいながら進む百鬼夜行は地獄絵図のようなものだと思うが、この小さな二人の妖は、単純にお祭りだとしか思っていないのだろう。
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