灯火

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  「お兄さんは、多分、僕らと同じ妖なんだ。せっかくの日に、ただここで過ごしたらもったいないよ?」 「お兄さん、一緒に行こう?」  獣耳の小さな子どもたちのいう通りか。残り半日の命だが、どうせ死ぬならここから違う場所へ行ったほうが良いだろう。 「……仕方ないな。俺は妖じゃないと思うが、そこまで言うなら行くよ」  手をとりはしゃぐ子どもたちだが、ただしっ、と二人を制し俺が行く条件を二人に言う。 「俺は、そうだな……仮に捺津(なつ)とでも名乗っておくか。お兄さんはなしだ。むしろお前らより後に生まれてるんだから逆だろ」 「わかった、捺津お兄ちゃん」 「捺津お兄ちゃん、早く行こう」  まったくわかっていない二人に頭を痛めつつ、百鬼夜行に合流するために走り出す。 「何も、わざわざ人の世に降りなくてもいいだろうに」 「京都は遠いから、連れてってもらうんだ。それに、妖力の弱い僕らは、人には見えないから良いんだよ。あ、でもすっごく強い妖は違う」 「京都にいる妖の中でも、鬼の天合さまとか有名だって、ははさまが言ってた。サイン欲しいなぁ……」  華南には憧れの妖がいるらしい。綺麗な女性の姿をした妖だと言うが、基本妖は異様なほど美形が多いと聞く。何故なのか? 「そうでもなければ、人の産物とも言える妖は、ただ愚かな存在と蔑まれるだけだから、ですよ?」  口に出して言ったわけじゃないのに、心のなかで思ったことに返事がかえってきた。後ろから声がしたので振り返ると、銀髪で少し長い髪の和服の男性がいた。妖力の弱い妖は人間には見えないんじゃなかったのか?
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