灯火

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  「前にね、テレビでやってたよ、ネコがバスになるやつ。多分、管狐ちゃんもそれになるんだよ」 「違うよ華南。管狐はバスじゃないよ」  八雲が何かを管狐に言った。八雲の言葉を理解したらしい管狐は短く鳴き、それと同時に辺りを白い煙で包みこんだ。視界が煙で遮られるが、何か大きなものが動いているのだけはわかる。 「げほっ、華南、八雲、大丈夫か?」 「捺津お兄ちゃん、見てみてー!」  華南の暢気な声が聞こえる。無事で何よりだが、声のする場所が上からなのが気になる。徐々に晴れていく煙。そして目の前にいたのは、 「でかっ!」  巨大化した白い毛並みの管狐がそこにいた。華南は狐の背中に乗って楽しそうにはしゃいでいる。八雲が隣で、ネコバスより大きいと言っているが、そもそもネコバスって何だ? 「捺津お兄ちゃん、行こう、京都に」 「あ、あぁ。狐って空を飛ぶものなのか」  妖って何でもありだな、と思いながら管狐の背中に乗る。激しく揺れて落ちないか心配だったが、飛んでしまうと、乗っているこちらにはほとんど振動もない。俺たちを乗せた管狐は、古都京都に向かって、まるで泳ぐ魚のように走り始めた。
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