狂愛ディストレス 第4話

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  「……芹香は、誰か好きな人でもいるの」 「知らなかった。あたし、結構恋愛体質なの」  言って、芹香はいつもの悪戯っぽい笑みを浮かべる。  その瞳に、見たことのない潤いがジワリと満ちた。  おんなの、目だ。 「ハラの立つ男なんだけど。駄目ね、そういうのにばっかり引っかかる」 「……どんな人なの」  いつもフラットで、感情が乱れるところなんて人に見せない芹香。  そんな彼女がそんなふうに言う男の人って、どんな人なんだろう。  芹香は眉根を寄せ、一瞬考えた。 「──嫌味な男よ。人をやりこめることに命賭けてるんじゃないのっていうような」 .
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