第2話

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迷子になったねずみさん、森でちぃちぃないていた。 するとひとり、きつねさんがやってきた。 「坊や、どうして泣いているの」 「お家へ帰りたいけれど、どの道行けば、いいのかな」 それならおまかせ、ときつねさん。 でも、 「今日の森はもう暗い。明日おうちへ帰ればいいよ」 そう言って とことこ、案内しだした。目指すおうちは、きつねのおうち。 月も真上へのぼったころ、ふたりはようやくお家へ着いた。 「良かったわ!きつねさん、とっても優しいのね」 幼い少女は頬を紅潮させた。男の手にした絵本の挿し絵に、その大きな丸い目が釘づけになっている。男は優しい声音で言った。 「そうだよ。でもね、このお話には、大事な続きがあるんだ」 男はまたページをめくった。今度もかわいらしい挿し絵があった。 ねずみの坊やは大喜び。きつねさんにお礼を言った。 「ありがとう。今晩ここで寝ていいんだね?」 「ああそうさ。ゆっくりゆっくり眠るといいよ。これも、ひとだすけなんだから……」 ずうっとね。きつねさんはよだれを拭いた。 あっ、と思ったねずみさん、気づいたときにはおそかった。 きつねのお家の目の前で、がぶりとひと呑み。食べられた。 「そんなあ……」 少女は手で顔を覆ってしまった。だが泣き出しはしなかった。この男に出会うまで、散々泣いていたので、もう涙は出なかった。 「ごめんよ、お嬢さん。」男は半ば戸惑って言った。「怖がらせるつもりはなかったんだ」 「ううん。いいの、いいの」少女はぶんぶん首を振った。 「それより、ありがとう、おじちゃん」 少女は、座っていた切り株から立ち上がった。コートの裾をはたく音が森中に響いた。 「いいや。これも、ひとだすけなんだから。……」 「これに乗れば、お家に付くんでしょ?」 「そうだよ。後ろの椅子に座るんだよ」 少女が車に乗り込むと、男もゆっくり立ち上がった。運転席へ乗り込み、エンジンをかける。 「そう。これも、ひとだすけだしね……」 「え?」 「いや、おじさんの独り言さ。かまわず眠るといいよ」 少女はにっこり笑った。次の瞬間には、歩き疲れていたのか、すぐに眠りに陥った。 車はどんどん進んで行った。暗い暗い、森の奥深くへと……
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