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2005年・9月17日午後19時21分
【セレーナ空港北ゲート】
響く銃声、暗闇で瞬く幾多の閃光。
放たれた弾丸はソレを貫くが、その歩みが止まる事は無かった。
ヴォォォォォオ……オヴゥゥゥウウ……
アォォオオオォォ……ゥヴゥゥゥウウヴゥゥゥウウ……
グオォォォォォォ……アアァァァアァァァァ……
銃声は途切れ、ソレの放つ呻き声だけが空港のロビーを満たしていく。
さっきまでの悲鳴ももはや今となっては遠い事かのように思える始末である。
着陸して誘導を受けていた最中の飛行機、突然のエンジントラブル、突然発作を起こした急病人。
突然苦しみ出して血の泡を噴きながら絶命。
二度と開く事の無いその眼が開かれ、そして地獄が始まった。
死んだ人間が蘇り、生者を見境なく食い殺してゆく。
そしてソレに噛まれたり、殺された者も同じように蘇り、その犠牲者を増やしていく。
瞬く間に空港内で響いていたのは悲鳴でなくなり、ソレの発する呻き声だけとなっていった。
飛行機がターミナルに突っ込み、ソレが被害者を増やし始めてもう一時間が経過している。
そんな中、一人の男がこの地獄と化した空港からの脱出を図っていた。
男の名はチャック=クロムウェル
この島にバカンスに来ていたフリーランスの傭兵である。
「ったく…とんだバカンスになったもんだ」
自慢の愛用品であるハンドガン・ベレッタM9の残弾数を確認し、軽く溜息を吐いた。
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