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空港を抜けて20分が経過していた頃。
まだ夏が残っているという事もあってまだ夜空には夕焼けの残滓があった。
しかし、このままでは直ぐにでも辺りは完全に闇に包まれるだろう。
チャックは空港近くの森林地帯を歩いていた。
一筋の黒煙が向こうの方から立ち昇っている。
あれは間違いなく人間が関わっているということの証明だろう。
先程こちらの方から多数の銃声が聞こえてきた、もしかしたら生存者がいるかもしれない、そんな期待を抱きながら彼は煙の方へと向かっていた。
弾の補充も出来れば行っておきたい、今の状態ではいざという時に対処しきれないのは目に見えていた。
しばらく歩みを進めていたチャックの足が止まる。
「……教会か」
炎に包まれていたのは木製の十字架が掲げられていた教会であった。
既に火の手が全体に回り、その全容はみるみるうちに崩れ去っていく。
「ちっとばっかし遅かったか」
「いいえ、そんな事ないと思うけど?」
後頭部に突きつけられる冷たい銃口。
その声の主の殺意が体現したかのような、そんな冷たい銃口がチャックの頭を既に捉えていた。
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