0人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンタがやったのか? 今はこんな事してる場合じゃないと思うんだが」
時間稼ぎ、対話を行う事で少しでも相手への付け入る隙を見つける。
自分と同じ界隈の相手ならばこんな問答をする前に殺しにかかってきている筈なのだが、一向に撃つ気配が無い。
「シラを切っても無駄よ。
さぁ、知ってる事を全部話してもらうわ」
全く話が噛み合わない。
何らかの情報を聞き出そうとしているのか、それともただ単に素人なだけか。
どちらにせよ、チャックにとっては好機に変わりなかった。
!!!?
すぐさま頭を右にずらし、反転した勢いで銃を蹴り飛ばす。
この一連の動作で二秒消費、相手はいきなりの行動に仰天し銃を撃つ暇すら無かった。
そのまま右肘を相手の喉に押し当てながら後ろへと押し倒す、そして左手のベレッタが額を捉えた。
普段なら直ぐにでも撃ち殺している、しかし、目の前で押し倒されていたのは年端もいかない可憐な少女であった事が幸運にもチャックの人差し指を食い止めた。
ダークブラウンの髪、活発な印象を受けるポニーテール。
吸い込まれそうなブルーの瞳。
若干幼さの残る甘酢っぽい旬の果実を思わせる顔。
そして何より引き締まった体のバランスは良く、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる。
「うっ……早く私も殺しなさいよ……」
「なんの話だ? 俺が宗教の処刑人にでも見えるのか」
軽口を叩きながら喉元の拘束を緩める、どうやら敵のようではないらしい。
実際敵がなんなのかは分かっていないが、少なくとも危害を与える人物ではないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!