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「俺はチャールズ=クロムウェル、まぁチャックって呼んでくれればいい。
見ての通り、しがない只のおっさんだ」
チャックは謝罪を交えながら軽く自己紹介をした。
押し倒すような形から、お互いが少し離れて向き合うように座っている。
少しは緊張の糸が解れてきたらしく、彼女の表情に笑みが生まれるまでになっていた。
「私はケイト、ケイト=グッドオール。
見ての通り、只のしがない女子大生よ」
二人の顔から笑みが零れる、どうやらお互いの敵意は拭えたようだ。
ケイトの話によれば、彼女もまたあの空港での事件に巻き込まれて、何名かの生存者と共にこの教会に逃げてきたのだという。
そこで謎の黒服集団に襲撃され、彼女以外の生存者は皆殺しにされたのだ。
そこで生存者の一人がゾンビと化し、その黒服集団の一人を噛み殺した。
彼女の銃は、その時に死体から拝借した物だった。
「なるほど、で、その黒服共はどこに行ったんだ? もしまだ近くにいたらマズイぞ」
「街の方で仲間と合流するって言ってたわ。それも一時間ぐらい前の事だから、ここにはもういないと思う」
どうも彼らからは同業者の匂いがする、そうチャックは本能的な部分で感じ取っていた。
ならば彼らが起こすのは徹底的で無慈悲で冷徹な殺戮のみ、恐らくあの旅客機全てを使用不能にしたのも彼らだろう。
その目的は分からないが、どうやらよほど生存者にはいてもらいたくないらしい。
脱出手段を封じる為に旅客機を全て使用不能にした、そんな風にしか思えなかった。
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