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第40章 ベガとアルタイル
木内が駆けつけた時、既にホテルの駐車場には、軽井沢署から駆けつけたパトカーが何台か停車していた。
木内は、妙な胸騒ぎがした。
社長室に鍵は掛かってなく、中は、もぬけの殻だった。
社長室にある浅間山の模型(ミニチュア)の上に、一通の封筒と、青い水晶のネックレスが置いてあった。
ネックレスのプレートには、「I」の刻印があった。愛子の物と同じ刻印だった。
封筒の中には、木内宛に書かれた犬養の手紙が入っていた。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
刑事さん、ごめんなさい。何度か、告白しようと思いましたが、出来ませんでした。専務を殺したのは僕です。専務が、矢崎さんと飲んで帰ってきた夜、僕は、残業をしていて、ホテルにいました。そして、ただならぬ雰囲気で、社長室に入っていく専務を見かけました。
不審に思った僕は、社長室の扉に耳を張り付けました。
最初、専務は愛子と世間話をしていたようですが、段々と専務の口調が激しくなってきたので、心配になって、扉を少し開けて中の様子を窺いました。
専務は、写真をチラつかせて、不倫を社長に暴露するぞと恐喝していました。しかし、愛子は全く相手にせず無視していました。すると今度は、社長の不倫を暴露し始めました。あんな酷い夫は見限って、自分の愛人になるようにと口説き始めたのです。しかし、愛子は臆することなく、専務に向かって出て行くように命じました。
逆上した専務は、愛子に襲い掛かり、馬乗りになり服を引き千切りました。
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