第40章 ベガとアルタイル

2/4
前へ
/18ページ
次へ
 僕は部屋に飛び込み、専務を引き離し、浅間山の青銅模型に向かって思いっきり投げ付けました。  怒りに任せて、彼の胸倉を掴み、後頭部を何度も打ち付けました。気が付くと、浅間山は、溶岩のように血で赤く染まり、専務は息絶えていました。  その後、僕は、彼のポケットからメモ帳が落ちている事に気が付きました。メモ帳には、会社を乗っ取るための陰謀が書かれていました。  一つ目は、社長の不倫写真を撮って弱みを握ること。  二つ目は、夕焼けの写真を使って愛子さんと稲葉さんを失脚させること。  三つ目は、誘拐事件を自作自演して、自然保護団体にダメージを与えるが書かれていました。  僕は、自分の犯罪を隠すため、三つ目の項目を利用した偽装誘拐殺人を思いつき、愛子と協力して、誘拐事件を演じました。刑事さんには申し訳ないですが、結果は、予想以上に上手く行きました。  恋することは不倫でしょうか?  僕と愛子の関係は、決して不倫ではありません。僕らの恋は、彼女が結婚する前から始まっていたのです。  僕の父は、ホテルマンだったので、少年時代、よく転校しました。小学校の数年間は、軽井沢に住んでいました。近くの別荘に、僕と同い年の女の子がいました。それが愛子でした。  僕らは、日が暮れるのも忘れて一緒に遊びました。そして時には、絵のモデルにもなってもらいました。中学生になる頃には、互いに恋に落ちていました。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加