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僕は愛子と心中することにしました。
犯した罪を償うには、自分たちの死を持って償う他ないと、愛子と二人で決めました。
みなさん、ご迷惑をお掛けしてすいません。さようなら。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
木内と金子は、手紙を読んで、愕然とした。
「木内さん、犬養を探しに行きましょう」
金子が叫んだ。
「当てもねぇのに、何処を探すっつうだ」
木内は首を振った。
「犬養が死に場所に選ぶのは、…夕菅の咲き誇る場所じゃないでしょうか」
「何、夕菅?そうえいば、もし死ぬなら、あの絵のような花畑でと言っていたな。とすれば…」
「おそらく、大規模開発の予定地である夕菅の群生地だと思います。今ならまだ間に合うかもしれません。木内さん、急ぎましょう」
木内たちは、パトカーに飛び乗って、夕菅の群生地へと向かった。
群生地の手前の道に、愛子のBMWが乗り捨ててあった。
星空が綺麗だった。天の川の両岸でベガとアルタイルが光っていた。
その星明りの下で、夕菅の花が狂わんばかりに咲き誇り、その中で、犬養と愛子が、折り重なって倒れているのが発見された。
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