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第42章 エピローグ ~七夕の夫婦~
軽井沢ヴィラ・ヘメロカリスの殺人事件が解決して数日経った。 その夜、木内と金子は、警察署の屋上で一服していた。
夜空には、天の川が瞬いていた。
木内は、煙草をふかしながら言った。
「おい、金子。ベガとアルタイルだぞ」
「木内さんも、ようやく星の名前を覚えたみたいっすね。所で、大三角形のもう一つの星を覚えていますか?」
「さぁ、何だったかな。デンブだったかな…」
「違いますよ。それじゃ、桜デンブになっちゃうじゃないですか。デネブですよ。デネブ。ちなみに、アルタイルは、牽牛星ですね。彦星の別名ですね。そうそう、彦星で思い出したんすけど、あの夜、ホテルの前で、犬養さんが質問した彦星の別の名前が分かりましたよ」
「ほう、何て言うだい」
「いぬかい星って言うんです」
「なに、いぬかい星だって」
「えぇ、そうなんです。おそらく、あの時、犬養さんは、愛子の恋人は自分だと、つまり、彦星は自分だと告白しようと思ったんでしょう。でも、それはできずに、牽牛星を答えた。それとですね、犬養さんが、あの夜、話していた、ギリシャ神話で、白鳥が首飾りを落とすという話は作り話のようです。彼なりに、稲葉の犯行を仄めかしたんでしょう」
「なるほどな…」
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