0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、あの利尻岳の夕焼けの写真が撮られたのは、ちょうど七夕でしたね」
そう言って金子は天の川を眺めた。
「そうだ、七夕で思い出したんだが、先日、矢崎の奥さんからハガキが届いていたぞ」
木内は、煙草の煙を吐き出しながら言った。
「どんな事が書かれていたのですか?」
「矢崎が生前、あの写真を、北海道のサロベツのフォトコンテストに出していて、それが最優秀賞を受賞したそうだ。何とも皮肉な話だいな」
「確か、写真の題名は、『七夕の夫婦』でしたよね」
「あぁ、そうだに。この世で夫婦になれなかった、二人は、きっと、星の世界で、夫婦となっていることだろうな」
木内と金子は、星空を見上げた。
夏の夜空に、ベガとアルタイルが、二つ並んで、幸せそうに輝いていた。
最初のコメントを投稿しよう!