第42章 エピローグ ~七夕の夫婦~ 

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「そういえば、あの利尻岳の夕焼けの写真が撮られたのは、ちょうど七夕でしたね」  そう言って金子は天の川を眺めた。 「そうだ、七夕で思い出したんだが、先日、矢崎の奥さんからハガキが届いていたぞ」  木内は、煙草の煙を吐き出しながら言った。 「どんな事が書かれていたのですか?」 「矢崎が生前、あの写真を、北海道のサロベツのフォトコンテストに出していて、それが最優秀賞を受賞したそうだ。何とも皮肉な話だいな」 「確か、写真の題名は、『七夕の夫婦』でしたよね」 「あぁ、そうだに。この世で夫婦になれなかった、二人は、きっと、星の世界で、夫婦となっていることだろうな」  木内と金子は、星空を見上げた。  夏の夜空に、ベガとアルタイルが、二つ並んで、幸せそうに輝いていた。
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