第38章 白鳥を追え

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 御代田町は、軽井沢の西隣にあり、国道18号線沿いには、ネオンが煌めくラブホテル街がある。そのホテルの殆どが、車を横付けできるモーテルタイプだ。  木内は、捜査本部に連絡を入れて、御代田のラブホテル街に、数台の覆面パトカーを配備させた。  10分ぐらい経ってから、稲葉の車が、ホテルの駐車場から出てきた。  金子は、気付かれないように、無灯でゆっくりと発進し、彼の車の後を付けた。  稲葉の車は、国道18号線に入って御代田方面へ向かった。  稲葉は、途中でコンビ二に立ち寄った。  茶髪の若い男女が、コンビ二の店舗前に座り込んで、声高に雑談してアイスをパクついていた。 「あいつは、コンビ二に何の用があるんだろうな?」  木内が首を傾げた。 「栄養ドリンクかコンドームでも買うんじゃないっすか。これからパクられるとも知らないで」  金子が、下卑た笑いをした。  木内たちは、目を凝らして、稲葉が出てくるのを待った。 サラリーマン風の男や、トラックの運転手、チャラチャラした茶髪の男などが出てきたが、稲葉がなかなか出てこなかった。 「何だか、遅すぎないですか?」  金子が不審に思って言った。 「きっと、トイレだろう」 「でも何だか、おかしくないっすか…トイレにしては長すぎっすよ。あれ、待てよ。さっき、茶髪の男が乗って出て行った車は、RV車だったな」  金子が呟いた。 「茶髪の若者たちは、コンビ二の前で屯ってるじゃねぇか」 「僕が言っているのは、さっき、コンビ二から出てきた、サングラスを掛けた茶髪の男のことっすよ」 「そういえばさっきそんな奴が出てきたな」
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