第39章 不倫の代償

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 木内は、畳み掛けるように、茶髪のサングラスの男が写った写真を出した。 「お前が盗もうとしたのは、この写真だったんだな」 「そうです。霧が峰にドライブに行った時に撮られたものです。無礼にも面前で写真を撮ろうとしたので、抗議したんです」 「それが、矢崎だったんだな」 「そうです。まさか、彼が、ヴィラ・ヘメロカリスに泊まるとは思いもしませんでした。しかも、専務と二人で飲みに行くという話を聞いて、私は恐ろしくなりました。もし、この写真が、石墨の手に渡り、涼子との関係を妻にばらされれば、今度こそ離婚は避けられないと思ったんです」  稲葉は、矢崎の殺害に付いては全面的に認めたが、石墨の誘拐殺人事件に付いては、相沢と同様に、全く知らないと否認した。  木内は、利尻岳の夕焼けの写真に付いて尋問した。 「この写真に写っているは、お前と愛子で間違いないな?」 「何度も言いますが、私ではありませんよ。嘘ではありません。それに、こんなシルエットじゃ、誰かなんて分かりませんよ」 「では、質問の仕方を変えよう。この写真に写っている女性が、愛子だと仮定すれば、隣で肩を組んで写っている男は誰だと思う?」 「おそらく、犬養でしょう」 「な、何だって」 「あの二人は不倫をしてますからね」 「愛子と不倫をしていたのは、お前じゃねぇのか?」 「だから、それは単なる噂ですよ」 「だが、社員の証言では、社長室で手を取り合っているお前と愛子を見たと言っていたぞ」
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