プロローグ 桜弥と総司

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桜がひらひらと舞落ちる頃… 私は貴方に出逢った。 今思えば、私と貴方が出逢ったのは偶然ではなく、きっと運命だったんだと思う。 だけど、あの時の私はそう簡単に貴方を信じることが出来なかった。 ごめんね。 なんて言ったら貴方は笑うかしら? いや、違った。 絶対に笑うに決まってる! お腹をくの字に曲げて大笑いするはずよ。 そして、笑い終わった後こう言うの。 「今日は大雨ですね。傘持ってこればよかったなぁ」と… むかつく! と、なることはないです。 慣れたので… 今となっては懐かしい良い思い出です。 あぁ、懐かしいと思うなんて私も年をとったなぁ。 まだ、20歳だけど。 あの頃はいろいろ大変だった。 あはは……はぁ。 「何、ニヤニヤしてるの?」 「ちょっと黙ってて。 実の年齢より歳をとってる気がして落ち込んでるところなんだから」 「落ち込んでる顔じゃなくて、ニヤニヤしてる顔してたけど」 「あんたの目は節穴か? それはニヤニヤじゃなくて、苦笑いっていうの!」 「結局は笑ってるよね?漢字に"笑"入ってるし。僕、間違ってる?」 「でも、ニヤニヤと苦笑いは違うはず!」 苦笑いとは、苦々しく思いながら仕方なく笑うこと。 ニヤニヤとは、声を出さないで、薄ら笑いを浮かべるさま。 「"笑"入ってるね?」 「そうですね。…………てか、"笑"が入ってるかどうかの話になってる!?」 「気にしたら負けですよ♪」 こいつ、逸らしやがったな! 「はぁ。もういいや」 「ねぇ、桜弥? これあげる」 「ん? それって、桜?」 「うん、綺麗だったから桜弥にも見せたいなって思って拾ってきちゃいました♪」 「うわぁ!本当だ。 形も綺麗だし薄桃色がまた可愛らしいね」 「ですよね!」 「ありがとう、総司」 「どういたしまして。 それにしても、懐かしいですね」 「え?」 「僕と桜弥が初めて逢ったのって、桜がひらひら舞ってる…こんな感じの頃。でしたよね?」 「覚えてたの?」 「当たり前です!」 「嬉しいな♪ 」 「あっ、そうだ!昔話しませんか?」 「昔話…?」 「僕と桜弥が出逢った時から今日までの日の事を一緒に思い返しながら話す。どうですか?」 「うん、面白そうだね! あの時、総司がどう思っていたのかも知りたいし」 「僕も桜弥がどう思ってたか知りたいです!」
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