第1章 桜と出逢い

2/27
前へ
/30ページ
次へ
三年前… 「すみませーん!お団子5つください!」 「あ、はーい! 少々お待ちください!」 ここは、京で人気な甘味屋さん。 お団子が美味しいことで有名である。 この日、甘味屋さんは混んでいた。 座るところすらない。 私は初めて来たので、ここまで人気だとは思わなくかなり驚いてる。 つい、キョロキョロしてしまう。 「えーと、どうしたら…」 「お客さん!今、混んでいて座れるところがないんです。 お土産でしたらすぐに用意できますが…」 私に気付いてくれたお店の人が声をかけてくれた。 「えと、持ち帰りたいのでお土産でお願いします」 「分かりました!すぐに用意しますね。少々お待ちください」 ペコリとお辞儀をして、注文を言いに行ったお店の人。 何分もしないうちにすぐに戻ってきた。 「どうぞ!お代は…」 お金を払い、店を出た私は、さっそく"あの"場所まで小走りで行く。 知る人ぞ知る場所なので、混むことはないと思うが一応急ぐ。 私が"あの"場所を知れたのは、仕事を終えて帰ろうとした時に聞こえてきた声の主からの情報で知ったのである。 まぁ、世に言う盗み聞き。 声の主から情報では満開の綺麗な一本桜が咲いてる場所に新撰組の誰々が見に来てるのを目撃した者がいた、というこだった。 私は仕事柄、外に出ることはしない。 つまり、満開の一本桜をゆっくりと見たことはないのだ。 せっかくの桜の季節なのに! それも、知る人ぞ知る場所の満開の桜! 仕事が入らぬうちに、この目で見てみたい。 それと、お団子も食べたい! という欲が出てしまい、行動に移したのである。 一つ気になるのは、新撰組の"誰"が来るのかということ。 新撰組の屯所と呼ばれるところを一回情報を盗みに忍び込んだことがある。 その時に山崎という奴に見つかってしまった。 あいつは、確かに凄い奴だ。 技術や変装の仕方、敵に遭遇した時の戦いかた。 すべてにおいて完璧。 さすが、新撰組の監察。 とまぁ、そんなことがあり山崎には会いたくない。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加