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「着いた!」
木に囲まれてる小山の中央に咲く満開の一本桜は本当に綺麗。
雲一つない青空と満開の一本桜。
そして、お団子。
「最高の花見びよりだぁ~!!」
どこで食べようかな?
誰もいないから、どこでもいいよね♪
私が選んだのは一本桜のすぐ真下。
木の幹に寄りかかるように座るとさっそくお団子の包みを開く。
包み一箱の中に5本の団子が入っていた。
その中の一本を手に持ち、青空に掲げる。
青の中に日に反射してキラキラ輝く茶色いみつ。
和むなぁ~
パクっ
一口その団子を口に入れ、一個外し食べる。
モチモチの感触とあまーいみつが口の中でいいハーモニーを奏でている。
なんて、カッコつけてみたけど、実際には美味しいしか分からない。
だって、団子は初めて食べたんだから。
私はボーとしている。
もちろん、お団子をモチモチ食べながら。
薄桃色の桜が風に揺られてひらひらと舞い落ちる。
私は桜になりたい。
咲き始めから散る間際まで美しい桜に。
理由はない。
だけど、どの人間をも魅了する姿は憧れる。
私みたいな存在理由が分からない人間は迷ってしまう。
このままで良いのかと…
そして、ふと思う。
「情報屋、やめたいな」
私の仕事は情報屋。
佐幕派と倒幕派
どっちの味方にもなれない。
いつも中立の立場で立たなければいけない。
「昔みたいに遊びだったら楽なのに…」
いや、違う。
だいたいこんな仕事、20歳にもなっていない子供がやることではないのだ。
幼い心に硬い楔が幾重にも絡まり、闇へと沈む。
闇と光は平等でいて不平等。
私はずっとそう思っている。
親がいなくなってから…
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