第1章 桜と出逢い

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「着いた!」 木に囲まれてる小山の中央に咲く満開の一本桜は本当に綺麗。 雲一つない青空と満開の一本桜。 そして、お団子。 「最高の花見びよりだぁ~!!」 どこで食べようかな? 誰もいないから、どこでもいいよね♪ 私が選んだのは一本桜のすぐ真下。 木の幹に寄りかかるように座るとさっそくお団子の包みを開く。 包み一箱の中に5本の団子が入っていた。 その中の一本を手に持ち、青空に掲げる。 青の中に日に反射してキラキラ輝く茶色いみつ。 和むなぁ~ パクっ 一口その団子を口に入れ、一個外し食べる。 モチモチの感触とあまーいみつが口の中でいいハーモニーを奏でている。 なんて、カッコつけてみたけど、実際には美味しいしか分からない。 だって、団子は初めて食べたんだから。 私はボーとしている。 もちろん、お団子をモチモチ食べながら。 薄桃色の桜が風に揺られてひらひらと舞い落ちる。 私は桜になりたい。 咲き始めから散る間際まで美しい桜に。 理由はない。 だけど、どの人間をも魅了する姿は憧れる。 私みたいな存在理由が分からない人間は迷ってしまう。 このままで良いのかと… そして、ふと思う。 「情報屋、やめたいな」 私の仕事は情報屋。 佐幕派と倒幕派 どっちの味方にもなれない。 いつも中立の立場で立たなければいけない。 「昔みたいに遊びだったら楽なのに…」 いや、違う。 だいたいこんな仕事、20歳にもなっていない子供がやることではないのだ。 幼い心に硬い楔が幾重にも絡まり、闇へと沈む。 闇と光は平等でいて不平等。 私はずっとそう思っている。 親がいなくなってから…
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