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私は返事の代わりに、ソファの脇に置いてあったバッグを手に取る。
「ごめん、私帰る!」
そう宣言して、目を見開いて驚く美里の返事も聞かずに玄関へと走った。
早くしなければ。
食事の用意は4人分してあった。
ということは、彼が着くだろう時間に検討がついていて、それがもうすぐだということだ。
あせればあせるほど、スニーカーに上手く足が入らなくて気が急く私は踵の部分を踏んづける。
さっさと出て、エレベーターの中でちゃんと履きなおせばいい。
「恵美、ちょっと!」
背後から、美里が慌てて追いかけてくる足音がする。
それを振り切って、私は玄関のドアノブに手をかけて思い切り押し開けた。
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