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「……っ」
困ったな。
本当に顔があげられない。
「三咲?熱でもあるの?」
俯いたままの私をそっと覗き込んでは、額に手を伸ばした。
またドクンと心臓が高鳴って、彼にバレないよう目をギュッと瞑る。
思ったよりうんと冷たい手のひらが、ほんの少しだけ私の身体の熱を奪っていった。
「だ、大丈夫……っ」
確信犯なら、本当にやめて欲しい。
「テストだしねー、俺も知恵熱出そう」
束元君はケラケラと笑って、私の額に当てた手のひらを離す。
ホッとしたのも束の間、そっと顔をあげるとすぐ目の前に彼の笑顔があって、また頬が熱くなるのを感じた。
……相変わらず振り回されてる。
この笑顔に、言葉に、何気ない仕草に。
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