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「……だ、大事な話が……あり、ます」
密かに数学の得意な束元君。
もし、このテストで彼に勝てたなら、もう一度だけ気持ちを伝えるチャンスが欲しい。
束元君がどんな表情をしているのか、それを見るのが怖くて目を強く瞑った。
「……」
「……」
しんと静まり返った廊下の空気。
お願い、束元君。
何か答えを……
「束元君、あ、あの」
やっぱり私は彼に迷惑を掛けるばっかりなのかな。
やっぱり言わない方が良かったのかな。
小さな勇気が大きな後悔に変わる予感。
「……ふ、」
その時、微かに私の前髪を揺らした、束元君の吐息。
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