モンスターの真実

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「……」 途端に恥ずかしさが込み上げる。 何をそんなにムキになってるんだろう。 束元君は私の言動に動揺する事もなく、涼しい顔でもう一度私の頭にぽんぽんと触れた。 「その代わり……」 彼の顔がぐんと近くなる。 悔しい程にドキドキが止まない。 不意に見せた真剣な表情からまた笑顔がこぼれて、そんな一瞬に胸が跳びはねた。 校舎の喧騒が遠く霞む。 静かな長い廊下に、束元君と私、二人きり。 「……その代わり、俺、本気出しちゃうから、ね?」 ……もし、この一瞬を永遠に出来るのなら、例えモンスターに心を奪われても構わない。
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