モンスターの真実

28/39
前へ
/126ページ
次へ
「わ、分かった。真剣勝負ね」 ごくりと息を呑んで答えると、また束元君は吹き出すように笑って。 「三咲、頑張って」 完全に見下されてる。 だけど……絶対負けない。 決意を胸に吐き出した息は白くて、ゆっくりと二人の頭上を掠めていく。 「じゃあ、私、予習しなきゃだから、先に行くね」 そう声を掛けて彼よりも一歩前に出た。 「……待って、三咲」 足を進めようとした瞬間、後ろ手を引かれてそのまま覆い被さるように長い腕が私の肩に落ちた。 「え?つ、束元君っ……?!」 後ろから抱き締めるように絡められた腕に、思考回路が麻痺していく。 やっと落ち着いてきたはずの胸がまた悲鳴をあげる。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加