モンスターの真実

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「……三咲がテスト頑張れるように……おまじない」 束元君の表情は全く見えなくて、ただ鳴り止まない鼓動と彼の体温だけが私の身体を支配していく。 込み上げてくる何かに押し潰されそうで、それを誤魔化すように口を開いた。 「束元君いいの?そんな事したら……ま、負けちゃうよ?」 私の言葉に、彼はまるで私の髪に顔を埋めるように腕に力を込める。 「どうかな」 耳元に触れる、クスクスと楽しそうな笑い声。 「……三咲になら負けてもいい、かな」 「……っ」 また。 そんな言葉で私を振り回すんだ。 「束元君っ、真面目にっ……」 言い返すと同時に顔を後ろに向けると、至近距離に彼の顔。
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