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まだ、私と束元君とを交互に眺めてはざわめき立つ教室の中。
少し遅れて教室に入って来た、楠原さんと渡瀬君の姿。
喧騒の渦にもれた彼らを、私達の時のようにひやかすクラスメイトは誰もいなくて。
「……」
何となく気付いた答えに全身の力が抜けて、机に突っ伏した。
「三咲?どうしたの?」
「……うん」
しのちゃんの声に応える元気も出ない。
「言い過ぎた、ごめんっ」
頭を伏せたまま、慌ててぶんぶんっと強く首を振って。
「違っ、しのちゃんのせいじゃない、から……」
続けて小さくごめんねと呟くと、しのちゃんはもう何も言わずに私の背中を撫でてくれた。
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