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私の瞳が真っ先にとらえたのは、束元君。
何で……
何でこんな簡単に見付けられちゃうんだろう。
いつだって、どこにいたって、気付けば私の中には彼がいて。
ただ一人、フィルターを外されたみたいにキラキラと輝いて見える人。
気付けば無意識の内に姿を探して。
知らず知らず、目で追ってしまう。
「……はぁ」
友達とふざけあいながら、校門を潜る束元君の笑顔。
私がこんな不毛な恋に悩んでいる事なんて、きっと考えもしないんでしょう?
気付いて。
こんな私に。
私の心に、気付いて。
瞳が離せなくなる。
窓の外で冷たい木枯らしが、彼の髪をさらって行くのさえも鮮明に映って、小さな決断さえ揺らぎそうになる……。
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